
『ウインドサーフィン・クラシックス』ウェブサイト開設!
みなさんウインドサーフィンしてますか。僕はもううん十何年も続けているのに、まだまだ全然飽きないことに驚いて、以前にも増してこのスポーツにかける情熱や出費が増していることに重ねて愕然としています。
はじめまして。そんな流れを汲んで(自分の思いを真摯に受け止めて、まだサイト内大工事中ではありますが)ここに『ウインドサーフィン・クラシックス』と名付けたウェブサイトを開設します。ここでは「最先端の競技としてのウインドサーフィン」ではない方の「むかしから親しまれ、今も楽しいウインドサーフィン」のあれこれや、その楽しみ方のヒントとなりそうな事柄を紹介していきます。
懐古趣味のサイトではありません。サイト名の一部とした『クラシックス』には「時代を超えて」という意味も込めています。そんなウインドサーフィンを多くのみなさんと共有したいと思っています。のんびり───ライトウインドでクルージングするみたいに───おつきあいいただければ幸いです。
|| ウインドサーフィンのルーツはどこに?

1965年、米国オハイオ州のニューマン・ダービー氏が考案、商品化した『ダービー・リグ』遅いしカッコ悪いしでまったく売れなかった
一般的に日本では(私のまわりでは?)「ウインドサーフィンは1960年代後半にカリフォルニアで誕生した」といわれています。ボードとリグ部をつなぐ360度回転式のユニバーサルジョイントが開発され、セイルにブームが取り付けられて、商業的な特許を獲得したということからみれば、それはその通りだと思います。
でも別の見方もあるかもしれない。「固定されていない帆で船を動かした」とか「船に自由に動く帆をつけてみた」とか、そういう話はもっと昔からあったのでは? と思われ、そう考えるとウインドサーフィンの歴史は、ヨットと同じくらいか、あるいはもっと古いのでは? なんて思えてきたりもします。
ちなみに紀元前4000年ごろには、帆を使い風の力を利用して船を走らせていたことが、エジプトの古代遺跡にある絵から確認されているそうです。
そういえば「サーフボードに自由に動く帆を取り付けたもの」と考えると、マウイの老舗ウインドサーフショップ『Hi-Tech(ハイ・テック)』の壁に飾られていた古い道具を思い出します。サーフィンのルーツのひとつといわれるポリネシア族の木製のサーフボードに折りたたみ式のセイルが取り付けられるようになっているそれは、ハイテックのスタッフやマウイのローカルウインドサーファーたちが、これぞウインドサーフィンの起源、ととらえているものかもしれません。今度マウイに行ったら詳しく聞いてみたいと思っています。

マウイの老舗ウインドサーフィン・ショップ『ハイ・テック』の壁に飾られた『ルーツ』を感じさせる木製ボードと折りたたみ式セイル
むかし目にした『ハイ・ウインド(1980年創刊)』の第1号目から3号目あたりの雑誌の中には「ウインドサーフィンのルーツ」に関する記事があり、そこには世界各地でウインドサーフィンに近しい形状の道具で遊んでいる写真が掲載されていました。
当時は特許の問題で揉め事があり、そのためボードとジョイントが紐で結ばれたものがあったり「ウインドサーフィン」という名称も、ある特定の商品にしか使えなかったりと、様々な問題を抱えていたわけですが、それでもウインドサーフィン(当時はボードセイリングとも呼ばれていた)は、新しいマリンポーツとして注目され、徐々に人気も集めるようになっていきました。そしてそのプロセスの中で、このスポーツのルーツは、様々なとらえられ方をするようになったのではないかと思います。
1980年代初頭にはハワイ(オアフとマウイ)と欧州で、80年中盤には日本で、ウインドサーフィンは一大ブームとなりました。そして日本に生まれた多くの若いウインドサーファーたちは「新しいものは素晴らしい」「カリフォルニア、かっこいい!」「NASA的で未来的!」みたいな感じでどんどんこのスポーツにのめり込んでいきました(たぶん)。
でも本当かな? と最近ときどき思います。ウインドサーフィンは本当にカリフォルニアで、アメリカで生まれたの? そこがルーツなの? そこにあるのは根っこでも幹でもなく、太めの枝みたいなものじゃないの? それを知ってどうなるものでもないけれど、なんだか木になる、じゃなくて気になる。ウインドサーフィンの常識とされていることの中には、他にも確定的ではないことが多いのではないか?
僕の勝手な推測───サーフィンの世界では1970年代ごろに大きな変化があった。ボードの素材に変化・進化があり、ショートボードが生まれ、ハワイ、カリフォルニアなど各地でさまざまな形状のボードが試され、サーフィンの可能性が広げられた。もしかしたらその中にウインドサーフィンの原型というべきものがあったのではないか?
だからこそ当時のサーファーの多く(かのジェリー・ロペスさんもその一人)がウインドサーフィンもしていたし、世界の錚々たる名シェイパーたちがウインドサーフィンのボードのシェイプもしていた。サーファーたちはウインドサーフィンにサーフィンの広がりを感じ、コンディションによってはウインドサーフィンに従来のサーフィン以上の楽しさを感じることができた。
そこに本当の(今の僕らが思う)ウインドサーフィンが生まれた。発祥の地はわからない。それは常に新たな刺激を求めるサーファーたちの日々の営みの中から自然発生的に生まれたものなのだ。だからこそ自然の中で無理がなく、どんなときでも自然に溶け込む「快」を感じることができる。
証拠は何もありません。ただ僕はそのように推測できる(信じられる)ウインドサーフィンを、これからも続けていきたいと思っています。
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